2008年9月分
 
 9月はわが家族にとってとても悲しい月となりました。わが家族がいちばん愛し、頼りにし、事あるごとに世話になってきた連れ合いの母が、膵臓ガンのため急逝したのです。
しかし、事実は事実として受け止め、新たな出発をしなければなりません。
●9月1日(月)
 終日、「物理問題集」原稿。
●9月3日(水)
 朝から大雨。「物理問題集」原稿、いよいよ追い込み。
●9月4日(木)
 囲碁名人戦開幕。張(28歳)−井山(19歳)。若手の代表だった張が、9歳下の若者の挑戦を受ける。面白くなりそうだ。
●9月6日(土)
 「物理問題集」原稿、最後の追い込み。
9月8日(月)
 「物理問題集」ついに脱稿。
 午後、A社の編集部長・編集委員のお二人が、東京から芦屋山奥の我が家に来駕。たいていの編集者は、むろん経費がかかることだから事情は分かるが、「東京にお出での折に」という挨拶なのだが、こちらはメールの返事を出したらすぐに来られた。その心意気に感じること、むろん大である。依頼された企画も、吾が意を得たりといった内容。来年秋くらいまでには何とか−−という申し出に対し、いやいや来年4月目標にしましょう−−などと言ってしまった。少々、調子に乗りすぎたか。しかし、頑張らねば。
●9月9日(火)
 連れ合いは8月末に引き続き、三重へ。入院中の岳母の見舞いに。
●9月11日(木)
 SFジャパン冬号の短篇の構想に入る。すでにイラスト2枚が出来上がっており、これを元に作品を書き、その作品を読んで、3枚目のイラストが描かれるという寸法。イラストレーターは森山由海氏。さらに面白いのは、「SFジャパン」2名、「問題小説」1名の3人の小説家の競作なのである。ぼく以外の書き手は、瀬名秀明氏、井上正彦氏。
●9月13日(土)
 ネット納税というのをやろうと思い税務署のホームページにアクセスするが、やっかいである。というのも、ネットに接続しているwindowsXPは、なぜかadobereaderがインストール出来ないのである。7月に買ったvistaはむろんadobereaderは載っているのだが、我が家のネットに接続できないのである。パソコンを触ると、こんなことで、いつも時間が無駄に過ぎてゆく。
●9月15日(月)
 家族で三重松阪へ。9月に入って岳母の様態が急に悪くなってきたので、万が一を考えてのお見舞い。連れ合いの弟がフィアンセを連れてきてウェディング・ドレス姿を見せるが、見るのもおぼつかない様子。8月末には元気でベッドから起きあがっていたのだが。
●9月17日(水)
 午前3時半、岳母逝去の電話が入る。午前4時半、再び三重松阪に向けて車で出発。朝焼けがやけに美しい。遺体はすでに自宅に運ばれ、悲しみに沈む暇もなくあわただしい1日が始まる。
●9月18日(木)
 朝から通夜の準備。午後から親戚が集まり始める。日頃、話題にしていてもじっさいに会うのはこんな時とは皮肉なものだ。集まりの中心だったおばあちゃんが無言で横たわっている姿に会話もはずまない。寒風の初詣、川の土手での花見は、ついこの間のことだったのに。人の命の儚さを実感する。
 通夜には、やさしく面倒見よく、力強く頑張り屋だった小学校の先生を慕って大勢の弔問客が訪れる。日頃はあてにはならぬ存在だが、わが大学からも献花が届き、この時ばかりは有り難く思う。
●9月19日(金)
 葬儀。おばあちゃん、安らかに。合掌。
●9月22日(月)
 人の世は不思議なものだ。親しい人が亡くなっても、同じ毎日が始まる。
 先週休んだので、ぼくにとっては今日が後期授業の開始。早朝より出校。
 研究室の先生方から香典多数頂く。
●9月23日(火)
 10月4日の「志賀直哉旧居保存運動メモリアル・コンサート」の合わせに、ヴァイオリンの相原さん、チェロの大西君が来駕。
 ぼくは依頼された「白樺サロンの会」のホームページ作成に入る。
●9月24日(水)
 久し振りに連れ合いと「みかげ館」でランチ。
●9月26日(金)
 東進衛星予備校収録のため上京。
 「東進ブックス」の編集O氏とも打合せ。
 夜、B社の編集者と面談。今年入ったばかりの新米君だが、物理を「橋元流」で勉強したとのことなので、まずは丁重に応対。しかし、B社はA社より経営規模は大きいと思うのだが、わざわざ芦屋まで重役が来られるのと、上京のついでに新米編集者一人をよこすのと、その差が見え見えで面白いなぁ。
●9月28日(日)
 岳母存命なら63歳の誕生日。もうどうしようもないことなのに、ついつい思い起こしてしまう。ぼくも61歳。連れ合いと相談して、きちんと健康診断を受けることとする。
●9月30日(火)
 住吉のガン検診専門の医院で内臓の超音波診断を受ける。肝臓、腎臓、胆嚢、膵臓は、カメラで見るかぎり異常なし。あとは血液検査を結果待ち。胃腸は、胃カメラを飲むのだそうだ。「超音波診断では胃は分からないのですか?」と聞いてしまった。素人は無知である。胃腸は、臓器ではないのだった。腹の中にあるのだから、みんな一緒と思っていたのだが。
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