神の血脈
『神の血脈』
> 伊藤致雄著/芦澤泰偉装幀
> ISBN 978-4-7584-1059-5
> 角川春樹事務所
> 1600円
> 2005.12.28発行
粗筋:
  遙か昔、海に面したイヌイのムラを訪れた奇態な訪問者達 が帰り支度を始めていた。しかし一羽の海鳥が訪問者のなかから光る物を掠めて飛びさってしまった。イヌイの若者も海に潜ってその光る物を探すが、ようとし て行方はわからなかった。そして彼等は、海辺に白い家にも見えるシルシを残して去った。
  時は幕末。勝小吉は、不思議な雰囲気の若者に興味を持った。その若者―巽竜之介は、いぶかる小吉を手玉に取り、しかも倅の麟太郎のことも先刻承知だった。
  開国を求めて黒船で日本にやってきたペリーは、不思議な能力をもった男・乾風之助に迎えられる。…歴史を動かしてきた乾一族。五千年前に異星人から与えられた能力とは何なのか。壮大なスケールで描く、伝奇SF小説。第6回小松左京賞受賞作品。

『鎌倉繚乱―神の血脈』
> 伊藤致雄著/芦澤泰偉装幀
> ISBN 978-4-7584-1082-3
> 角川春樹事務所
> 1800円
> 2007.5.8発行
粗筋:
  1133年。人並み外れた頭脳と体力を持つ憶良と器量好 しで働き者の由乃の間に、美しい双子の姉妹が生まれ、名は光と綾とつけられた。憶良は、内大臣・藤原頼長と藤原通憲に、自ら踊る白拍子の人形を見せた。そ して頼長よりは見込みのありそうな通憲を自宅に招いた憶良は、水銀を用いた気圧計を見せるのだった。
  古来乾一族は、人間離れした能力をもち時代 の陰に生きていたのだが、この姉妹はその中でも卓越した能力の持ち主だった。念話で乾一族とコミュニケーションを取ることの出来るヨサムによると、時代の 変動があるときに、特に優れた能力を持つ子供が生まれるという。ヨサムから得た情報により、150年後に攻めてくるであろう寇敵から、民と領土を守れる国 にするために、乾一族は日本を武家の世にすることを決意したのだった。まずは平氏と源氏。頼朝、清盛、義経。時代の核となる人物たちに乾一族は果たしてど う介在していくのか……?
鎌倉繚乱

吉宗の偽書
『吉宗の偽書―兵庫と伊織の捕物帖』
> 伊藤致雄著/百鬼丸立体切り絵
> ISBN 978-4-7584-3313-6
> ハルキ文庫
> 720円
> 2007.11.18発行
粗筋:
  目付・天童兵庫は、将軍徳川吉宗の密命を受けた。紀州家 の当主の相次ぐ死は、吉宗の陰謀であるという証拠の留め書きを尾州様が握ったのだという。留め書きは果たして本物なのか、偽書なのか。一方、南町奉行所・ 定町廻り同心の本山伊織は、辻斬りの知らせをうけて探索に乗り出した。かつて同じ道場で「龍虎」と称された天童兵庫と本山伊織は、お互いの探索をするなか でやがて陰謀の奥にあるものの存在に気づくのだが……

『蜻蛉切り―兵庫と伊織の捕物帖』
> 伊藤致雄著/百鬼丸立体切り絵
> ISBN 978-4-7584-3322-8
> ハルキ文庫
> 700円
> 2008.2.18発行
粗筋:
  御法度である闇金融を営む金蔵寺の竜浄のもとへ、卍屋の 主人と名乗る男があらわれた。運慶の掘り出し物がでたので五百両都合して欲しいとのこと。大身旗本の本多盛勝の紹介状をもっていたため、信用した竜浄は金 子を用立てた。だがそれは詐欺だったのだ。その後も「卍組」と命名された二人組は、神出鬼没に暗躍するが、狙われた対象が嫌われ者の商家や武家だったた め、町人から喝采を受け続けていた。
蜻蛉切り

吉宗の推理
『吉宗の推理―兵庫と伊織の捕物帖』
> 伊藤致雄著/百鬼丸立体切り絵
> ISBN 978-4-7584-3344-0
> ハルキ文庫
> 680円
> 2008.6.18発行
粗筋:
  吉宗は子供時代、たまたま知り合った天童兵庫とともに剣 術の練習をしていた時、どこからともなく現れた武芸に秀でた謎の姫君に岡惚れしてしまっていた。そんな折り、陸奥の譜代大名、大門家の長男の訃報が届く。 一方、天童兵庫は大門家の轟小六の到着を心待ちにしていた。剣に非凡な才能を持つ小六ともう一度勝負したかったのだ。だが小六は一向に到着する気配がな い。しかし、江戸で小六を見たという噂を聞いた兵庫はその謎に迫ろうとするが……

『銀のかんざし―定町廻り同心・榊荘次郎』
> 伊藤致雄著/百鬼丸立体切り絵
> ISBN 978-4-7584-3398-3
> ハルキ文庫
> 686円
> 2009.3.18発行
収録作:
「弟弟子」「転落」「強奪」「贈物」「一念の笛」
  浅草の裏長屋で、ひとり暮らしのお峰という女が刺し殺された。駆けつけた北町奉行所の定町廻り同心・榊荘次郎は、早速、長屋の住人たちに話しを聞き始める が捜索は難航した。行きづまった荘次郎は、何度も手助けしてもらったことのある手習塾の師匠、方舟をたずね相談するのだが――「弟弟子」
銀のかんざし

『古希祝い』
> 伊藤致雄著/百鬼丸きり絵
> ISBN 978-4-7584-3424-9
> 角川春樹事務所
> 686円
> 2009.8.18発行

収録作:
「ちびりの瀬兵」「禁断の名所絵」「つかのまの晴れ」「古希祝い」
  北町奉行所の定町廻り同心榊荘次郎は、岡っ引きの直治と見回りの最中に「スリだ、泥棒だ!」との叫びを聞きつけ、逃げる男を追いかけるが、盗品は取り戻したものの取り逃がしてしまう。しかし、肝心の被害者が名乗り出てこない。訝しく思った二人が、その桐の箱を検分すると二重底になっていて、そこから出てきたのは御禁制の武家屋敷を描いた「名所絵」だった。
  上司の若年寄加納久堅から「早急に製作した仲間の捕縛。所持する者を捕縛して絵を回収。以上を秘密裏に行うこと」とのお達しで、荘次郎達配下は捜査に赴くのだが……(禁断の名所絵)