第2号 久美沙織新聞
久美沙織さんの最新情報満載! 
同居人紹介(笑)
著者近影(犬付き)
「アニマ・ソラリス」のインタビュー記事にある画像の縮小してないやつです。
ジョイ、寝相
めちゃ、これなあに?
鷹の訓練用カイトとルアー ご夫君と伏姫(鷹)
わんちゃん、勢揃い

おかみき時代の秘話?紹介
その1 その2
LPにはこみこんである紙に、当時の担当編集の加藤さんがちょろっと書いてくれているのを見て思い出したんだけど。
おかみき5と6の間ぐらいの時に、北海道に『高校生のための文化講演会』にいったのね。
集英社の子会社であるところの一ツ橋文芸教育委員会っつーとこがやってるイベントです。
おハナシをやらかす前にはたいがい校長室とかに通されて、校長先生と「歓談のひととき」を過ごさせられたりする。
とある女子校で、それをやっていたらいきなり、おじいさんの校長先生がクギをさしたの。
「ウチの高校では、卒業生のほとんどが、就職も進学もせずにお嫁にいく。
どうか、オンナもジリツするほうがいいとか、手に職をつけるべきだとか、いわないでくれ。
久美先生のように才能のあるひとならばそれでいいかもしれないが、ウチの生徒たちにはムリだ。
ナマジへんな期待を抱かせたり憧れを抱かせたりすると、きっとアヤマチを犯してしまう。
あんたには責任とれないだろ?」とかなんとか。
じゃあなんで、あたしなんか呼んだんだよおー!
こいつはイヤだって、前もって拒めばよかっただろーがー!
口でなにをいったって、実際にバリバリ働いている若い女のサンプルを見せたら、ヤバイんじゃないのか。 
第一……なんだっててめーはそんなにコドモたちをバカにしているのか。
校長にそんなに見くびられてるなんて、生徒さんたちがみんなかわいそーすぎる!
と、ものすっげぇアタマにきましたが、そこで逆らってもしょうがないので、その場はとりあえずニコニコしておいて、
いやみで辛辣で挑発的な講演をやらかした記憶があります。
あの校長さんはどうしているだろう……もうそろそろ寿命かなぁ。

文化講演会は十回ぐらいかなぁ、やったので、思い出はいろいろありやんす。
「みんな本をいっぱい読んでね」とあたりさわりのない話をしたつもりでいたら、あとから生徒さんがあいにきてくれて
「うちの町には本屋さんがありません。薬屋さんにマンガとか週刊誌は売ってるけど。ちゃんとした本屋さんは、ローカル線でふたついった先じゃないとなくて、でもあたしたち寮暮らしで門限厳しいし、ローカル線は日に何本もあるわけじゃないから、たとえ日曜とかにでも、本屋さんまでいって戻ってくるには、うんと早起きてがんばんないといけなくて、すっごい大変なんです」
とかいわれちゃって、仰天したとか。
あたりさわりがないどころじゃなかったのねー。
そういう学校こそ、図書室をがんばって充実させて欲しいもんだよね。

男子校で、やけにむさくる系のひとばっかでちょっとビビッたけど、なんかやたらに親切にしてもらったとか。

名物の包丁セットを学校ごとにかならずくれてしまって、地方新聞社さままでくれたので、なんだかかばんじゅう「包丁だらけ」になっちゃって重いし、かさばるし。
これはもはや「武装」状態なのではないか、いまもしかして警察に取り調べされたら新幹線ジャック未遂犯としてつかまってしまうのではないか、と思ったりとか。
九州地区では、ある県境を越えたとたんに料理の味がガラッとかわって、おサシミにつく醤油すらまるで違うもんになったので「日本酒製造最南端地域における味覚の断層について」って論文がかけるなと思ったり。
(ひごろの料理の骨格を左右する基本材料が「日本酒」なのか「焼酎」なのかで、そこに暮らすひとのベロの糖度に対する感度がガラッと違うはずだということ)
おかげさまで日本全国のいろんなとこに連れていっていただいて、いろんなことを知ったり体験させてもらったりしました。

だいたいがわたしは、高校の教員の先生がたには「はー? 久美沙織だ? そんな小説家いるのか。聞いたことねーなぁ」なわけで、ふだん本を読まない生徒さんたちにも「体育館で一時間もありがたいおハナシを聞かされるだぁ? げー。寝よ寝よ」でしょ。
そりゃ中には若干名、図書委員さんとか、「きゃーん、感激ー、たのしみー!」っていってくれてたりすることもなくはないかもしれないんだけど、それってあくまで「ほんとにマイナー」。
ほとんど誰もなんにも期待なんかしてないとこにいくわけです。

だからもう、とにかく、なんかイイコト言おうとか、立派なひとに見せようとか思わなかったです。
とにかくウケたい一心、ひとりでも多くのひとに笑って楽しんでもらいたい一心。生徒さんたちの青春の貴重な一時間を「ガマン」や「退屈」でムダにさせたら申し訳ないもん。
でもって、ほとんどスタンダップコミックをやってましたね。

(その結果、あいつの本ならちょっと読んでみよっかって思ってもらえたらもうそれでモウケモンですやんか)

そうするとねぇ、地方によって、先生方の反応がぜんぜん違うのね。
「ハレンチ学園」のテーマソングに「親が怒ればこどもが笑う」ってあったけど。
生徒たちが「ゲラゲラ笑ったりして喜」べば喜ぶほど、ニガムシ噛み潰し系に不機嫌になる先生がたが、けっこういるのよー。
そういう反応がほとんどな地方と、生徒たちが喜ぶと自分たちも明るく喜ぶ地方と、レキゼンとあるなぁと思ったの。
地方だけじゃなく、その学校特有の「校風」とか、このコトバはきらいだけど「程度」とかもそりゃああるかもしれませんが……。
都道府県ごとの「特徴」ってたしかにあるなぁと思った。

「管理」したがる風土のとことか。
自分たちが生徒さんたちとたぶんあんまりうまくいっていない、うまくやっていくべきだとも思っていない、そこで見知らぬ他人がちょっといい感じにふれあってみせると、こどもに迎合しやがって、みたいなこと言ったりとか。
嫉妬とか、怨嗟とか、他人をひきずりおろす感情が強いトコって、あるんだなぁと思った。

んで、いろいろいってみて、わたしがもしこれから高校生になる年頃で、どこで暮らすかを自分で選んでいいんだったら
選びたいなと思ったのは、東京を別にするとダントツで沖縄です。
(東京は人口がおおいだけに選択肢がたくさんありますからね)
沖縄の高校がいちばんのびのびしていて解放的で雰囲気がよかった。
三校ぐらいいって、どこもそうでした。
先生方と生徒たちの距離が近くて、どっちからも自然と歩み寄ってて、こころがひとつな感じがした。
高校生(16歳から18歳ぐらい)と、新卒の教員さんって、実は近いじゃん?
その近さがとても自然で、みんながオープンハートな感じがした。

ちなみに沖縄ツアーでは、参加スタッフ(版元と広告代理店のひと)の誰よりもあたしが一番那覇市街に詳しかったので(ダイビングとかやっていたから)自分のシュミにあわせて好き勝手にみなさんをひきずりまわしたから余計に楽しかったのかも?
SFのトップページへ戻る
ご意見、ご感想の送り先: destoroy@sasabe.com